(U)nity:新たなジャズを生み出すバンドをラテンの側面から解説
(U)nityはAxel Tosca Laugart(Pf, Key)とAmaury Acosta(Dr)によって結成されたバンドです。
2017年のアルバム『(U)nity Is Power』ではPino Palladino(Bass)やPedrito Martinez(Conga, Bata)をゲストに招いた曲をレコーディングしています。
(U)nityは2018年5月24日からの3日間、コットンクラブにて来日公演も行いました。
1st, 2nd showを通して観たのですが、非常に素晴らしかったです。
さて、主要メンバーのAxel Toscaは今やYoutubeのcongaheadチャンネルでよく見かけるようになりましたが、以前はPedrito Martinezなどと共演してサルサのような音楽をよくやっていたようです。
(最近のCongaheadでの演奏)
(コンガを始めとした幅広いパーカッションの演奏を行うPedrito Martinezとの演奏)
Axel Toscaのプレイの特徴として、リズムが非常に難解なモントゥーノが挙げられます。モントゥーノとはラテンジャズにおいてピアノが演奏する特徴的なパターンのことで、Axelのモントゥーノは(U)nityの楽曲でも多く登場してきます。
(動画 3:30~ 難解だが華やかなモントゥーノブレイク)
『(U)nity Is Power』はラテン色の強い楽曲が少なく、どの楽曲もお洒落で洗練された雰囲気を持っていますが、所々に出現するAxelのモントゥーノによってアルバム全体の音楽背景の多様性が際立つように感じられます。
もう一人の主要メンバーであるAmaury AcostaはKingKlave名義でトラックメイカーとしてのアルバムもリリースしています。
ジャンルはhip-hopとなっていますが,"Que Viva La Rumba Cubana"のようなGuaguancoの音楽とhip-hopをミックスした楽曲などもあるのが興味深いです。
(U)nity Is Power内の楽曲"New Cuba"のイントロでは、ティンバレスのパターンであるCascaraを応用した演奏で浮遊感を与えています。また"Guarapachanga"では儀式音楽Santeriaで用いられるBata Drumのリズムを応用したリズムパターンをドラムで演奏しています。
Amauryは彼らの演奏にラテンジャズのリズムを取り入れることで、新しいジャズに対して他のアーティストとは異なったアプローチを取っています。
(U)nityは、現在Robert Glasperらが生み出している新しいジャズに対して、ラテンジャズを始めとしたジャンルの多様性の方向からアプローチしている現在最も注目すべきバンドと言えるでしょう。